会長挨拶

会長 福田 知雄

第67回日本医真菌学会総会・学術集会
会長 福田 知雄
埼玉医科大学 総合医療センター皮膚科 教授

 このたび第67回日本医真菌学会総会・学術集会を2023年10月6日(金)、7日(土)の両日、本川越にある川越プリンスホテルにおいて開催させて頂くことになりました。
 日本医真菌学会は、医学領域における真菌学を主題とし、皮膚科だけではなく病原真菌や真菌症に関わる幅広い分野の医師、研究者が一堂に会し、日々の臨床・研究の成果を情報交換する歴史ある会で、私が在籍し皮膚真菌症を学んだ慶応義塾大学医学部皮膚科では、西川武二先生が1995年に会長として第39回日本医真菌学会総会・学術大会を明治記念館で開催されました。今回、私が慶應出身者としては28年ぶりに会長を任せられ、身の引き締まる思いを感じています。

 私が慶応義塾大学医学部皮膚科に入局した1987年の当時は研究班の一つが真菌班で、真菌症の専門家が当時の西川武二教授、原田敬之助教授、仲 弥講師始め5人在籍していました。当時は、大学等の大きな病院の皮膚科には真菌症の専門家が居るのが当たり前の時代だったように記憶しています。私が日本医真菌学会に入会して三十数年が経過しましたが、皮膚真菌症領域の変遷は著しく、2009年と2019年の皮膚真菌症診療ガイドラインを見比べると、大きな変化が読み取れます。皮膚真菌症の病原真菌は分子生物学の進歩により、分類学的群の認識が刷新され、菌名が相次いで変更され、それに伴い、主な原因菌にも大幅な入れ替えが生じています。治療薬に関しても、例えば、これまで保険適用のある外用薬のなかった爪白癬治療薬として2014年にエフィナコナゾール、2016年にルリコナゾール(爪用)、内服薬もほぼ20年ぶりに新薬ホスラブコナゾールが上市されました。抗真菌薬の耐性菌の問題、Candida aurisCryptococcus gattiiなど新興真菌症の出現も把握しておくべき話題です。

 新型コロナウイルスの感染拡大が社会問題となり、「コロナ禍」という言葉が使われ始めた2020年の2月半ば以降、多くの集会が中止、延期となりました。2022年9月現在もその影響は残り、集会の開催形式はリモートあるいはハイブリッドが主体で、対面での大規模集会はまだハードルが高い状況にありますが、徐々に解禁の兆しが見えています。新型コロナ感染の本当の制圧までには未だ時間がかかると思いますが、現状の理解にも役立つ特別講演として、埼玉県内のコロナ対応を最前線で行ってきた埼玉医科大学総合医療センター感染症科・感染制御科の大野秀明先生、総合診療内科の岡 秀昭先生に講演を依頼しています。

 川越市は、私が現在勤めております埼玉医科大学総合医療センターがある埼玉県の南西部に位置する人口約35万人(2022年現在)、県内第3位の人口を誇る中核市で埼玉県内の有数の観光地としても有名です。第67回の総会・学術集会は出来れば現地開催で皆様とお会いしたいと考えております。現地開催が叶った折には、是非大勢の皆様がご参集下さいますようお願い申し上げます。

 第67回日本医真菌学会総会・学術集会のテーマはシンプルに“真菌を学ぶ”です。臨床医学分野に加え、病理学、薬理学、臨床検査医学、微生物学、免疫学など幅広いテーマを準備したいと考えております。医真菌学に興味を持たれる全ての方々が一堂に会し、活発な議論が行われることを心より祈っております。

 最後に本会の趣旨をご理解頂き、多大なご協力を賜る企業の方々に心より感謝申し上げます。